YouTube企業アカウントの活用と作成ガイド

近年、多くの企業がYouTubeで公式チャンネルを開設し、動画マーケティングに力を入れています。YouTube企業アカウントは、自社のブランドや商品、サービスを動画で発信し、幅広いユーザーにリーチできる強力な手段です。サンキャク株式会社では大手企業や上場企業のYouTubeチャンネルプロデュース実績があり、そうした視点から本記事では企業アカウントの活用方法や作成方法、運用時のポイントをカジュアルな語り口で解説します。企業がYouTubeを活用する目的やメリット、アカウントの作り方、注意点まで網羅していますので、これから企業チャンネルを始めたい方はぜひ参考にしてください。

YouTubeの企業アカウントとは

まず、「YouTubeの企業アカウント」とは何かを押さえておきましょう。一般的にこれは企業(法人)が開設したYouTubeアカウントのことを指します。個人が趣味で運営するチャンネルとは異なり、企業公式の情報発信やマーケティングの場として運用されます。企業アカウントを開設するには主に2通りの方法がありますが、ほとんどの場合「ブランドアカウント」と呼ばれる企業向けのアカウント形態を利用します。

企業がYouTubeを活用する目的

企業がYouTube公式チャンネルを持つ目的は様々ですが、主なものを挙げると次のようになります。

  • ブランド認知の向上:動画を通じて企業名やブランドを多くの人に知ってもらうことができます。実際、日本国内のYouTubeアクティブユーザー数は2022年時点で7,000万人を超えており、10代から60代まで男女問わず幅広い層に利用されています。これほど幅広い層にリーチできるプラットフォームを活用すれば、自社を知らなかった潜在層にもアプローチ可能です。
  • 見込み顧客の獲得:商品やサービス紹介の動画を公開し、興味を持った視聴者を自社サイトや問い合わせにつなげることができます。特にコロナ禍以降は、対面でなくオンライン上で潜在顧客にアピールする場としてYouTubeが活用されるようになっています。動画をきっかけに資料請求や商品の購入につながれば、営業リードの獲得につながります。
  • 企業イメージの発信:YouTubeは自社の理念やカルチャーを伝える場としても有効です。企業紹介動画やCSR活動の紹介など、文章では伝えにくい会社の雰囲気を動画で表現することで、視聴者に親近感を持ってもらえます。また社員の声やオフィスツアーなどを公開すれば、採用活動にも役立ちます(この点は後述します)。
  • 顧客サポートや情報提供:製品の使い方解説動画やFAQ動画を掲載することで、既存顧客の課題解決や問い合わせ削減にもつながります。動画ならではの分かりやすい説明でユーザーの利便性を高め、顧客満足度向上につなげることができます。

個人アカウントと企業アカウントの違い

YouTubeの企業アカウントを開設する際には、通常「ブランドアカウント」という形態を利用します。ブランドアカウントとは、その名の通り企業やブランド、学校・自治体など組織のために作成できるYouTubeアカウントです。一方、個人がYouTubeを利用する場合は通常のGoogle個人アカウントでチャンネルを作成します。両者には以下のような違いがあります。

項目個人アカウントブランドアカウント(企業アカウント)
チャンネル作成数1アカウントにつき1チャンネル1アカウントで複数チャンネル作成可能(最大100個程度)
複数人管理不可(アカウントの共有が必要)可能(メンバーごとにオーナーや管理者権限を付与できる)
チャンネル名の設定アカウント名=個人名が基本(※後から変更可)自由に設定可能(企業名・ブランド名など)
想定利用者個人(一般ユーザー)法人・団体(公式チャンネル向け)

ブランドアカウント最大の特徴は、ひとつのチャンネルを複数ユーザーで共同管理できる点です。たとえば社内のマーケティング担当チームでチャンネルを運営する場合、担当者それぞれが自分のGoogleアカウントで管理者として参加できます。個人アカウントではこのような共同管理ができないため、企業で運用するならブランドアカウントは必須と言えるでしょう。また、ブランドアカウントなら1つのGoogleログインで複数のチャンネルを開設・管理できます。用途に応じてチャンネルを分けたいときにも便利です。

なお、視聴者側から見ればブランドアカウントか個人アカウントかは一見区別がつきません。そのため、公式チャンネルであることが分かるような認証バッジの取得や、チャンネル概要欄で公式サイトへのリンクを示すなどの工夫も必要です。公式だと安心してもらえるよう、チャンネル名に株式会社○○公式などと入れるケースもあります。

YouTubeの企業アカウントの活用方法

企業のYouTubeチャンネルは、使い方次第で様々な効果を生みます。ここでは代表的な活用方法を4つ見てみましょう。

ブランド認知の向上

企業アカウント最大の目的はやはり自社のブランドや商品を多くの人に知ってもらうことです。テレビCMとは違い、YouTubeではユーザー自らが興味を持った動画を選んで視聴します。魅力的な動画コンテンツを作れば、従来リーチできなかった層にもアプローチでき、結果的にブランド認知度の向上が期待できます。例えば、新商品発表の動画や企業のストーリーテリング動画を公開すれば、その動画がSNSでシェアされて認知が拡散する可能性もあります。実際、YouTubeの概要欄にはTwitterやInstagramなど外部SNSへのリンクも貼れるため、他メディアへの波及効果も狙えます。

また、YouTube上で企業名やブランド名を検索するユーザーも多いです。公式チャンネルがあることで、検索結果に公式動画が表示され、正しい情報発信ができるのもメリットです。ユーザーが商品名で検索した際に、テキストの記事よりも公式動画が上位に来ることもあるので、SEO的にもプラスに働きます。

グッドパッチ社員に聞いてみた11の質問(サンキャク株式会社作例)

見込み顧客の獲得

YouTube企業チャンネルは見込み顧客(リード)獲得のツールにもなります。商品紹介動画やハウツー動画を公開し、それを見た視聴者が興味を持てば、自社サイトへの訪問や問い合わせにつながるからです。たとえば、ソフトウェア企業であれば製品の使い方デモ動画、不動産業であれば物件紹介動画などが考えられます。動画内や概要欄に自社サイトのリンクやお問い合わせフォームの案内を入れておけば、視聴者をスムーズに次のアクションへ誘導できます。

また、一度チャンネル登録してくれたユーザーには新着動画の通知が届くため、継続した接点を持てる点も見逃せません。定期的に有益な情報を発信してファンになってもらえれば、長期的なリードナーチャリング(見込み客育成)につながります。具体的には、チャンネル登録者向けにシリーズ企画の動画を届けたり、コメント欄で双方向のコミュニケーションを図ったりすることで、信頼関係を深めていくことが可能です。

採用活動への活用

採用PRにもYouTubeは効果的です。会社説明会の動画や社員インタビュー、オフィスツアーなどを公開することで、求職者に社風や職場の雰囲気を伝えられます。文字や写真だけよりも動画の方が働く人の様子をリアルに感じてもらえるため、人材採用に活用できるのです。実際に、「社員がどんな表情で働いているか」「職場の空気感はどうか」といった点は、動画を見ることで直感的に伝わります。

近年では、採用サイトにYouTube動画を埋め込む企業も増えてきました。応募者に向けて社長メッセージ動画を載せたり、新入社員の一日密着動画を配信したりと、その活用方法は多彩です。YouTube企業アカウントがあればこうした動画資産を蓄積でき、人事広報としても活用の幅が広がります。

動画広告の活用

YouTube企業アカウントを持つことで、動画広告(YouTube広告)にも取り組みやすくなります。自社チャンネルにアップした動画コンテンツを、そのまま広告動画として配信できるからです。例えば新商品のプロモーション動画を作成したら、チャンネルで公開するだけでなく、YouTube広告としてターゲット層に配信すれば一気に認知拡大を図れます。テレビCMに比べて低コストかつ詳細なターゲティングが可能なのがYouTube広告の強みです。視聴者の年齢や興味関心、地域などを絞り込んで配信できるため、無駄の少ないプロモーションができます。

具体的な広告フォーマットには、スキップ可能なTrueView広告(インストリーム広告)や6秒間の短いバンパー広告、検索結果に表示される動画発見(ディスカバリー)広告などがあります。特にTrueView広告は視聴開始から5秒後にスキップ可能で、視聴者が30秒以上視聴するか最後まで見た場合にのみ課金される仕組みです。そのため、興味のあるユーザーにだけコストを払う形となり、効率的です。

自社チャンネルがあると、広告経由で動画を見たユーザーがそのままチャンネルに訪れて他のコンテンツも視聴してくれる可能性が高まります。広告とオーガニックなチャンネル運用を連携させることで相乗効果を生み、より効果的なマーケティングが実現できるでしょう。

YouTube企業アカウントの作成方法

続いて、YouTube企業アカウント(ブランドアカウント)の具体的な作成手順を説明します。基本的には「Googleアカウントを用意する」「YouTubeチャンネルを開設する」「ブランドアカウント設定を行う」という3ステップで完了します。一度設定してしまえば難しいことはありませんので、順を追って見ていきましょう。

  1. Googleアカウントの準備: まずはYouTube用に使用するGoogleアカウントを用意します。既に会社用のGoogleアカウント(GmailやGoogle Workspaceアカウントなど)があればそれを使用できます。ない場合は新規に作成しましょう。個人の私用アカウントで企業チャンネルを運営すると管理が煩雑になるため、担当者共有のアカウントか組織用のGoogleアカウントを使うことをおすすめします。
  2. YouTubeチャンネルの開設: Googleアカウントの用意ができたら、そのアカウントでYouTubeにログインしチャンネルを作成します。YouTube画面右上のユーザーアイコンから「設定」を開き、「新しいチャンネルを作成」をクリックします(初めての利用時は「チャンネルを作成」というボタンが表示される場合もあります)。ここでチャンネル名として会社名やブランド名を入力します。これがそのままブランドアカウント名となります。「作成」ボタンを押すと、新しいブランドアカウント(企業アカウント)でのYouTubeチャンネルが開設されます。 ※既に個人アカウントでチャンネルを持っている場合でも、「チャンネルを追加」から新たにブランドアカウントでチャンネルを増設可能です。一つのGoogleログインで複数チャンネルを扱えるのもブランドアカウントの利点です。
  3. ブランドアカウントの設定(権限管理など): 開設した企業チャンネルを運営しやすくするために、各種設定を行いましょう。まずチャンネルのカスタマイズとして、プロフィール画像(会社のロゴなど)やチャンネルアート(ヘッダー画像)を設定します。次にチャンネル概要欄に会社概要や公式サイトへのリンク、問い合わせ先メールアドレス等を記載しましょう。 さらに、社内で複数人で運用する場合は権限の追加も行います。YouTube Studioの「設定」→「権限」メニューから、他のGoogleアカウントを招待して管理者権限を付与できます。オーナー権限を持つアカウントは他の管理者を追加招待できますので、チームメンバーを招待しておくとよいでしょう。こうすることで担当者全員が各自のログインでチャンネル運用に携われます。権限には「オーナー」「管理者」「コミュニケーション管理者」などの区分がありますが、基本的に動画アップロードやコメント管理をするなら管理者権限で十分です。

これでYouTube企業アカウントの作成は完了です。あとは実際に動画をアップロードし、チャンネルを育てていく段階になります。最初はチャンネルアートや概要欄を整えたら、試しに1本紹介動画を投稿してみるとよいでしょう。動画の投稿自体は画面右上の「作成ボタン(+マーク)」→「動画をアップロード」からファイルを選ぶだけで簡単にできます。

YouTubeの企業アカウントを作成する際の注意点

企業でYouTubeチャンネルを運用するにあたり、押さえておきたい注意点や成功のポイントを解説します。せっかく開設した公式チャンネルを効果的に育てるために、以下の点に留意しましょう。

YouTubeガイドラインの遵守

まず大前提としてYouTubeのコミュニティガイドラインや各種ポリシーを遵守することが重要です。ガイドラインでは、ヘイトスピーチや搾取行為、過度な暴力表現、悪意ある攻撃、危険な行為を助長するコンテンツなどが禁止されています。企業の公式アカウントでこれらに抵触する動画を公開してしまうと、企業イメージを大きく損ねるだけでなくアカウント停止(BAN)や法的トラブルに発展しかねません。例えば著作権を無視して他社の映像や音楽を無断使用すれば、著作権侵害で削除されるだけでなく訴訟リスクもあります。

企業アカウントでは特に「信頼性」や「安全性」が重視されます。不適切な動画は最初から投稿しないことはもちろん、ユーザーからのコメントにも目を配りましょう。炎上につながるようなコメントが放置されていないか、ガイドライン違反のコメントが付いていないか定期的にチェックし、必要に応じて削除や報告を行うことも大切です。

運用体制の整備

YouTubeチャンネル運営は一度動画を出して終わりではなく、継続的なコンテンツ更新と管理が求められます。そのため、社内での運用体制をしっかり整えておきましょう。動画の企画・撮影・編集・公開まで多くの工程があるため、担当メンバーの役割分担を決めたり、必要なら外部の動画制作会社に依頼することも検討してください。

例えば、マーケティング担当者が企画・シナリオを作り、広報が出演交渉や社内調整を行い、専門の制作会社が撮影編集を請け負う、といった形です。予算やリソースに応じて無理のない体制を作りましょう。また、投稿スケジュールをあらかじめ計画しておくことも大事です。週に1本なのか月に2本なのか、定期的なアップ頻度を決めておくことで視聴者にとっても習慣化されやすくなります。長期的に運用していくには、社内の合意とサポートも不可欠です。経営層に目的や期待効果を共有し、応援してもらえる環境を作ることも成功の鍵と言えます。

SEO対策とアルゴリズムの理解

YouTube上で動画を多くの人に見てもらうには、YouTube内検索やおすすめに表示されるための工夫=動画SEO対策も必要です。具体的には以下のポイントに注意しましょう。

  • タイトル・説明文・タグの最適化: 動画のタイトルや説明文に狙ったキーワードを含め、内容が一目で伝わるようにします。例えば、新製品の紹介動画なら製品名やカテゴリ名を入れるなどです。ただし無理に詰め込みすぎず、自然でわかりやすいタイトル付けを心がけましょう。説明文には動画の要約や補足情報、自社サイトへのリンクなどを記載します。タグも関連キーワードを適切に設定しておくと検索発見性が向上します。
  • サムネイルの工夫: サムネイル(動画のカバー画像)はユーザーのクリック率に大きく影響します。ブランドカラーやロゴを入れてひと目で自社の動画と分かるようにしたり、内容を的確に表す魅力的な画像を設定しましょう。文字テロップを入れて内容を示すのも有効です。
  • チャプター(目次)機能の活用: 10分以上の比較的長い動画では、時間指定で区切るチャプター機能を使うことで視聴者の利便性が上がり、結果的に視聴維持率が向上する場合があります。チャプターにキーワードを含めればSEO的にも有利です。
  • 視聴データの分析: YouTube Studioの分析ツールで、視聴回数や平均視聴率(視聴維持率)、クリック率、視聴者層のデータを定期的にチェックしましょう。どの動画がよく再生され離脱率はどこか、チャンネル登録につながっているのはどのコンテンツか、といった分析から次の戦略を立てることができます。特に視聴維持率(動画をどれだけの割合見てもらえたか)はYouTubeアルゴリズム上も重要な指標と言われており、序盤で離脱されない工夫(動画の導入を魅力的にする等)が求められます。

YouTubeのアルゴリズムは常に改善されていますが、本質的には「視聴者にとって有益で興味深い動画」を優先して表示します。言い換えれば、視聴者からの評価(高評価やコメント)、視聴時間の長さ、チャンネルへのエンゲージメントなどが高い動画はおすすめに載りやすくなります。こうした仕組みを理解しつつ、テクニックとコンテンツの質の両面からチャンネルを最適化していきましょう。

【まとめ】YouTubeの企業アカウントを作成し効果的なマーケティングにつなげよう

最後に、本記事のポイントを振り返ります。YouTube企業アカウントは、現代のデジタルマーケティングにおいて無視できない存在です。ブランド認知の向上から見込み客の獲得、採用活動の支援まで幅広く活用でき、適切に運用すれば大きな成果をもたらします。実際、サンキャク株式会社がプロデュースした不動産会社のYouTubeチャンネルでは、約4,000万円の新築物件が60棟以上も売れるという大きな成果が上がりました。これはYouTube経由で多くの潜在顧客にリーチし、動画を通じて商品価値を伝えたことが契約につながった好例です。

他にも、サンキャクの支援事例では「ミュージシャンのチャンネルを2カ月で収益化」「企業チャンネル開設1カ月で登録者100名突破」「コンサルしたチャンネルがYouTube急上昇クリエイターに選出」といった成功例が生まれています。これらの実績が示すように、適切な戦略と運用体制のもとで企業アカウントを育てていけば、短期間でも確かな成果を出すことが可能です。

まずは小さく始めて継続することが大切です。最初の一本を公開するのは勇気がいるかもしれませんが、仮に思うような反応が得られなくても改善を重ねていけば必ずノウハウが蓄積されていきます。社内の専門チームや信頼できるパートナーと協力しながら、ぜひYouTube企業アカウントを活用したマーケティングに挑戦してみてください。継続的に運用する中で、自社にフィットした動画のジャンルや視聴者層が見えてくるはずです。

YouTube公式ヘルプや成功事例も参考にしつつ、ガイドラインを守りながら創意工夫を凝らした動画発信を続けていきましょう。そうすれば、YouTubeチャンネルは必ずや御社の心強いマーケティング資産となってくれるはずです。今日からぜひ一歩を踏み出してみてください!

サンキャク株式会社

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